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KCRビジネスジャーナル 2005年12月22日号 http://www.kcr-inc.com/
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目次

■KCRレポートアップロード情報!
   今週のIPO動向
   新興3市場:KCR-IPO-IRレポート(02社)

■東京IPOで毎月1回好評連載中! 〜本物の企業IRを考えるシリーズ〜
   「個人投資家にとっての企業IR」その6(全12回)
   株式会社KCR総研 代表取締役 金田一洋次郎
   (証券アナリスト・IRコンサルタント)

■IRコンサルタントのつぶやき 〜選ぶ時代〜

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■KCRレポートアップロード情報!
   今週のIPO動向
   新興3市場:KCR-IPO-IRレポート(02社)
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○今週のIPO動向(上場日:銘柄:騰落率)

 12/20(火):ゲームポット(3792・札証)            :600%
12/20(火):エスグラントコーポレーション(8943・名証)    :136%
12/20(火):ソニーコミュニケーションネットワーク(3789・マザ): 45%
12/20(火):スターティア(3393・マザ)            :180%
  12/20(火):ユージン(7828・JQ)               :192%
  12/21(水):プロダクション・アイジー(3791・JQ)       :253%
  12/21(水):日本パーキング(8997・JQ)            :200%
  12/22(木):カネミツ(7208・大証2)              : 94%

○新興3市場:KCR-IPO-IRレポート(02社)

 弊社KCRホームページでは、リニューアルに伴いアナリストレポートを毎
日掲載しております。今回は新興3市場のレポートとして以下2社を掲載して
おります。以下のアドレスにアクセスして御覧下さい。

【無料】
2005/12/21
■株式会社エスティック(6161・マザ)
ナットランナ、ハンドナットランナ、ネジ締付装置の製造・販売、および当社
製品の修理・点検
http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=6161

【有料】
2005/12/22
■株式会社フリード(9423・JQ):レポートデータ更新 
通信回線取次および情報通信機器販売
http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=9423

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■東京IPOで毎月1回好評連載中! 〜本物の企業IRを考えるシリーズ〜
   「個人投資家にとっての企業IR」その6(全12回)
   株式会社KCR総研 代表取締役 金田一洋次郎
   (証券アナリスト・IRコンサルタント)
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○様変わりする証券業界

 日本企業のIRもここへ来てようやく変化の兆しが顕著になってきた。その
最たる理由は、外部環境の変化が挙げられる。冒頭のコラムでも述べたが、現
在の日本の金融環境は、私が、IRコンサルタントを志した10年以上前の時と
は、様変わりしたといっていい。よく10年一昔とは言うが、財閥である三井と
住友が合併したり、興銀と勧銀・富士銀行などが一つになるなどは、銀行が多
すぎるという理由から想像はできても、実際にそうなると思っていた日本人は、
誰もいなかったのではないだろうか。

 証券界にも同様のことがいえる。既に山一證券崩壊の時から、再編の足音は
如実に聞こえてはいたのだが、これまた現在のような形に進化するとは誰も想
定できなかったに違いない。中でも、ネット証券の台頭は、すさまじいものが
あったといえる。特にその先駆けともいえる松井証券の変貌ぶりはネット証券
の台頭を表すのにふさわしいデータを示しているといえよう。同社は、大正7
年創業の独立系の老舗ではあるが、20年前においては、証券会社の総合順位と
しては、実に99位とかろうじて100位のランキングに入る規模の会社であった。
その株式売買代金のシェアは、0.111%と1%にも程遠い規模であったのだ。そ
れが、今や東証の直近1日当りの売買代金シェアにおいて6.5%ものシェアを誇
り、直近決算の経常利益については 225億円への大企業にと大変身している。
当時の経常利益は7億程度であったから、実に32倍もの付加価値創造に成功し
ているのだ。こうした松井証券の躍進は、インターネット取引に特化した経営
陣の先見性もさることながら、それを支えた個人投資家の台頭に支えられてい
ると言っていい。現在、個人投資家の証券市場でのウエートは年々高まり、東
京、大阪、名古屋の3市場の売買代金に占める個人投資家のシェアは、2001年
の18%から2004年には3割を超え、実に140兆円の規模を占めており、
そのうち個人投資家の8割以上がネット取引(110兆円)を実施しているとい
うのだから驚きである。

○市場の変化と企業IR

 こうした流通市場の変化は、発行市場にも影響を与え始めており、その結果
が、近年に見られるIPO企業数の増加や長らく大手証券会社の寡占状態であ
った新たな引受主幹事会社の増大にも繋がっているといえる。とはいうものの
2004年のIPOの引き受け(金額ベース)は、大手3証券が約6割のシェアを
握っている。シェアは、徐々に下がっているとはいえ、まだ寡占状態であると
いって過言ではないだろう。近年、ネット証券自体が主幹事を務める例も増え
てきているが、2004年においてはわずか2%シェアに過ぎない。この点に
対し、松井証券の松井社長は、「流通市場」でネット証券がシェアを拡大して
いったように、IPOの販売といった株の「流通市場」においても、松井証券
が発行体に無手数料で販売を引き受け、手数料の価格破壊を起こす方針を表明
している。ディスカウントにより、流通市場において飛躍的にシェアを拡大さ
せた同社だけに発行市場におけるこうした動きは、新たな証券の担い手の出現
と市場の改革にも大いに期待が持てる発言といえよう。

 こうした外部環境の変化は、発行体である企業のIRに対する姿勢にも大いな
る変化を促してきている。中でも、ジャスダック、ヘラクレス、マザーズとい
った新興企業群においては、IRに対する取組み姿勢が大きく変化してきている。
IPO市場では、上場審査基準である形式基準のバーが大きく引き下げられた
ことにより、多くの株式会社にIPOの門戸が開かれ、今では、売上高が10億
円に満たない企業や赤字の会社においても株式公開することが可能となった。
また、ちょっと前までは、上場時において売上、利益とも上昇基調でなければ
決して公開できなかったものだが、最近は、下降気味の会社も堂々と上場して
きている。こうした風潮は、投資家の立場から見ると功罪両面あるとは思うが
当の発行体にとっては、ますます早期上場の可能性が高まるわけであり夢膨ら
むというものである。 昨年のIPO企業数は175社、今年も同様のペースで公開
が進んでいる。上場企業数は、一時より増えたといっても4000社弱と全国 120
万社からみれば0.3%の狭き門である。しかし、この狭き門を通過して上場
した企業は、次には4000分の1社いう選択の中での競争が待っているのだ。

○大企業とのコンペに打ち勝つ

ここに50万円という投資資金を持っている個人投資家がいるとしよう。彼か
ら見れば東証1部上場のソニーを買うのか新たに公開してきた新興企業株を買
うのかは、大切な投資資金を株に投下するという観点からは何も変わらない。
彼が知りたいのは、どっちの銘柄が彼の財産を増やせるかの一点につきる。ほ
とんどの投資家は知らない企業には、一切投資資金を回すことはしない。従っ
て、彼がソニーなどの大型株には興味がなく、中小型株好きでよく調査をし、
しかも彼の嗜好に合い、かつ偶然にもその新興企業に遭遇しなければ、ほとん
ど購入の機会がないと言っても過言ではないだろう。

 このように企業IRというのは、言わば資本市場での競争を意味しており、
企業サイドからみれば競争に勝つための戦略であり、手段ということができる。
投資家の資金をソニーではなく自社に振り向けることは、その分だけファンを
増加させたことになるわけであり、ソニーとのコンペに勝ったともいえるので
ある。こうしたIR戦略を積極的に導入して早期に大企業となった企業の典型例
には、ソフトバンクが挙げられる。同社の経営手法は、企業のヒト、モノ、カ
ネという経営資源のカネの部分において資本市場とIRを最大限活用したものだ。
こうした同社の成功例は、多くの新興企業経営者に大いなる影響を与えている
に違いない。「どうやったら、ソフトバンクのように成長できるのか」。その
点が、意欲ある新興企業経営者を企業IRへと駆り立てている原動力となってい
るともいえる。とはいうものの、新興企業では活発化が始まったIR活動であ
るが、全体からみればこうした企業IRを展開しているのはまだ数えるほどしか
ない。外部環境の突き上げから企業のIRは確実に変化を見せてはいるが、内部
環境に目をやるとまだ企業IRに対して、できればやりたくないという企業も目
立つ。本物の企業IRは、ようやく育ちつつある環境が整ってきたというのが現
在の率直な状況といえる。

※2005年06月掲載。投資情報満載のメールマガジン「東京 IPOマガジン」のご
  登録は、同社ウェブサイトで。 http://www.tokyoipo.com/

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■IRコンサルタントのつぶやき 〜選ぶ時代〜
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 最近は、どんなもの・ことに関しても 選択肢が広く与えられていて、逆に
迷ってしまうくらいだ。身近なところで例をあげるなら、携帯電話の会社も携
帯電話のサービス内容も携帯電話の柄も5年前から考えると大きく変わったと
いえるのではないだろうか。

 洋服業界の顧客の趣向も変わりつつあるようだ。ここ数年前までは、少しお
金を貯めて高価な洋服を購入するということを いわゆる「贅沢」と考えてい
たが、最近ではすぐ買い換えることを想定して安い洋服を何枚も買うといった
トレンドが若者を中心にあるようだ。同じ金額を使うにしても、持っている洋
服のバリエーションの豊富さが「贅沢」と捉えられているのだ。

 こういった趣向ですぐに頭に浮かぶお店と言えば、ユニクロではないだろう
か。「服はそれを着る人が着こなして始めて個性を発揮できる。ユニクロは、
自分のスタイルを持った人に選ばれる、『完成した部品』としての服をつくり
たいと考えています。『ファッション性のあるベーシック商品』をめざします」
とHPに記載されているよう、トレンドに適合したビジネス展開をしている会
社に相違ない。

 株式会社ファーストリテイリングの築き上げた「ユニクロ」は 安さ・バリ
エーションの豊富さの提供だけではない。「選ぶ時代」の中、「バリエーショ
ン」という概念を商品に導入しているのだ。こうした点からも、ユニクロはト
レンドを引っ張る企業になったといってよいのではないだろうか。(MS)
 
※KCRビジネスジャーナル木曜版では弊社BLOG「KCR総研のアナリスト奮闘記」
  より弊社アナリストの記事を掲載しております。是非一度御覧下さい。
  http://ameblo.jp/kcr-inc/

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KCRビジネスジャーナルは、原則毎週2回の発行を予定しております。
本メールマガジンは、株式会社KCR総研と交流させていただいている下記の
方々および当社ウェブサイトにてメールマガジンの配信登録をされた皆様、当
社主催のセミナーにお申込みいただいた皆様にお送りしております。

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編集・発行
株式会社KCR総研 研究員  梶本昭典
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