メールマガジン ・バックナンバー

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KCRビジネスジャーナル 2005年8月29日号 http://www.kcr-inc.com/
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目次

■企業IR最前線!注目企業のIR活動をウォッチ
   エスペック株式会社(6859・東証1部,大証1部)
   ダイワラクダ工業(9918・大証2部)
   ワタベウェディング株式会社(4696・東証1部,大証1部)
   株式会社ミューチュアル(2773・JASDAQ)
   川本産業株式会社(3604・東証2部,大証2部)
   ニッシン債権回収 株式会社(8426・マザーズ)
   株式会社まぐクリック(4784・ヘラクレス)
   スカイマーク エアラインズ株式会社(9204・マザーズ)

■主任研究員藤田英輔のとれたてアナリスト速報
   ダイワラクダ工業(9918・大証2部)
   株式会社ミューチュアル(2773・JASDAQ)

■東京IPOで毎月1回好評連載中!
   〜投資を考えるシリーズ〜
   「本物の投資家になるために」その7(全12回)
   株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎
   (証券アナリスト・IRコンサルタント)

■松井証券マーケットプレゼンス毎週水曜日好評連載中!
   証券アナリスト金田洋次郎の業界セクター分析講座
  〜不動産セクター編〜 (第7回/全12回)

■IRコンサルタントのつぶやき

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■ 企業IR最前線!注目企業のIR活動をウォッチ
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企業の活発なIR活動は、投資パフォーマンスに大きな影響を与えます。このコ
ーナーでは、公開企業のIR活動にスポットをあて、その内容を投資家に紹介す
ることによって、企業IRの活動内容を報告します。

○エスペック株式会社(6859・東証1部,大証1部)
近年IRセクションを設け、IR活動に注力。個人・機関を問わない積極的なIR活
動への取り組みは大いに評価したいところ。IRサイトの充実振りも魅力。事業
計画からも高い将来性が見込めるため、事業内容への一層の理解を、より多く
の投資家層から得たいところ。

○ダイワラクダ工業(9918・大証2部)
現在のところ、IR活動へは注力せず。
今後のIR活動については、積極方針への転換の可能性も残すが、ひとまずは現
状のままか。親会社・大和ハウス工業の意向も影響すると予想される。配当は
1株13円の安定配当指向。

○ワタベウェディング株式会社(4696・東証1部,大証1部)
今年に入り2回の個人投資家向け説明会。加えて「株主優待フェア2005」への
参加も。割引券等の株主優待あり。配当性向は04年3月期・33.4%、05年3月期
・37.7%と株主還元にも意識的。IRサイトのニュースリリースも頻繁であり、
IR活動に対する積極的な姿勢があらわれれている。

○株式会社ミューチュアル(2773・JASDAQ)
株主へは基本的に安定配当で報いる考え。今期、株式分割、1単元の株式数の
変更、自社株買い実施。今後も継続的にを実施していく方針。個人投資家向け
説明会は現在のところ実施していない。

○川本産業株式会社(3604・東証2部,大証2部)
株主還元は配当性向よりも配当利回りを意識したい。配当性向は2〜3%。株主
優待に関しては扱う賞品が医薬品という特性上難しい。

○ニッシン債権回収株式会社(8426・マザーズ)
個人投資家向けセミナーを実施するなど個人向け活動に意欲的。配当政策に関
しては平成17年3月期に1株につき1,000円の期末配当を実施。今後の配当に関
しては中間750円、年間配当を1,500円とする予定。

○株式会社まぐクリック(4784・ヘラクレス)
株主には30%程の配当性向で還元していく考え。自己資本が潤沢なため、回転
率を上げることで内部留保よりも配当を、という方針。コンシューマー向けの
ビジネスではないため、株主優待はつけず、その分を配当で還元。試験的に個
人投資家向け会社説明会を、現在まで2回、自社主催で実施。

○スカイマーク エアラインズ株式会社(9204・マザーズ)
法定開示を重視するが、独自の活動はあまりしていない。機関投資家向けの活
動を広げていく予定である。個人投資家向けの活動は今後の課題である。

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■主任研究員藤田英輔のとれたてアナリスト速報
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このコーナーでは、KCR総研主任研究員藤田英輔が、企業のIR責任者から仕入
れた情報をビビッドに速報します。今回も関西の注目企業2社をご紹介します。

ダイワラクダ工業株式会社(9918・大証2部)
http://www.daiwarakuda.co.jp/
2005年8月23日、同社上村常務に取材。大和ハウスグループの住宅設備機器子
会社。内装事業やリース事業も展開。主力の住設機器売上の7割超が大和ハウ
ス向けだが、外販も強化していく方針。地域ビルダーや建材商社開拓の成否が
カギ。リース事業ではゼネコンからイベントに軸移す。大和ハウス顧客向け損
保販売強化中。新規事業として中古品のリサイクルショップ始める。
2005年8月29日終値590円、時価総額14,927百万円

株式会社ミューチュアル(2773・JASDAQ)
http://www.mutual.co.jp/
2005年8月24日、榎本執行役員に取材。製薬・化粧品業界向け包装機械商社。
レギュレーションが厳しい製薬市場で高付加価値商品を供給し、他社との差別
化図る。技術商社として半世紀以上の歴史を持つが、一方で研究所を有するメ
ーカーでもある。最近では製造工程のバリデーションと文書化のみの受注も。
これまで手薄だった欧州への販路拡大に注力する考え。
2005年8月29日終値787円、時価総額5,457百万円

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■〜投資を考えるシリーズ〜7.本物の投資家になるために
   「本物の投資家になるために」その6(全12回)
   株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎
   (証券アナリスト・IRコンサルタント)
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「沈黙は金なり」。これは株式投資においては、現代でもいえる大切な金言で
あろう。とかく株式投資で儲けた金は、世間一般では軽視されがちである。楽
して稼いでとか、株で儲けることができたら苦労はしないとか、とにかく株式
投資に否定的な考えが多いのがこの世の中である。しかし、この考え方は欺瞞
に満ちている。人は誰しも豊かな暮らしをおくりたいと願っている。幸せは金
が全てではないが、金に困らない方が、幸せな生活ができることは疑いのない
事実である。

普通のサラリーマン生活をしていても、億の資産を作ることができるのが株の
世界なのだ。実際に、株で成功した投資家に出会ったら、どうやって成功した
のかを人々は一様に知りたがると同時にかなりのやっかみも入れるだろう。だ
から、株で大きな資産形成を成功させた人は、一様にして口が堅いのが特徴だ。
これは、ある意味当然のことである。株式市場とは、情報市場ともいえ価値あ
る情報が全てであるからだ。やっかみだけが嫌なのではない。一旦、口を開い
て、そうした情報が広まってしまえば、それはもはや情報とは呼べなくなるか
らである。野山において毎年、豊富にマツタケが取れる場所や天然のアワビや
ウニが豊富にとれる漁場などはその場所が知れわたってしまえば、一瞬のうち
に荒らされて、瞬時にして価値を失うことになる。秘伝のラーメンの味も同じ
だ。その味を出すための下準備や作り方が広まれば、あっという間に大衆化し
て、たちまち市場価値を失うことになるのである。

こうしたことを考えると、実際に、価値ある情報を入手し、株で資産形成をす
ることは決して容易でないことに気付く。つまり、株で稼ぐことは難しく、楽
ではないということである。特にここで、我々が改めて認識しなおさなければ
ならないのが、情報はタダではないという当たり前の認識である。日本人は、
とかく情報をタダと思い込んでいるところが現代においても散見される。これ
は大手金融機関が提供するサービスの世界でも、情報はタダで実際の取引でそ
の部分のコストをカバーする慣行が長年続いてきたためともいえるし、特に個
人が情報や金融知識を必要としない預貯金に長年依存してきた結果としての国
民性からともいえる。いずれにせよ、将来の年金不安に加え、長引く低金利時
代、成果報酬導入とあいまって高額所得者と二極化する低賃金時代と対峙する
にあたって、億の資産までとはいかなくとも株で資産形成を行う術は、もはや
必須のものとなってきたように思える。

では、我々は具体的にどうすればよいのか。それは、投資を成功させるために
は、まず、勉強をしなければならないということを肝に銘じるべきである。勉
強といっても、資格試験や受験勉強のような暗記をするようなことを連想して
はいけない。あくまでもテーマは、「自らの株式投資の成功」である。本コラ
ムの表題に従えば「本物の投資家」ということになるのだろうか。今巷では、
にわかに証券ブームだという。界隈の証券教室やマネー相談室などは、仕事帰
りのサラリーマンやOLも熱心に参加し、自らの資産形成つくりに余念がない。
こうした傾向は、無論歓迎すべきことである。一部の資産家や機関投資家だけ
ではなく、普通のサラリーマンやOLが自らのライフプランを豊かにするため
に投資を勉強することは、自らの生活を幸せに導くステップであると同時に、
我が国にとっても世界有数の投資大国になるチャンスでもあるのだ。従って、
こうした傾向を決して一過性のブームで終わらせてはいけない。そのためには、
一人、一人の個人投資家が、最終的に「投資とは何か」を冷静に見つめ着実に
実行する、いわば事業家としての同等の視線に到達する必要があると筆者は考
える。

もっと、分かりやすく言うと目指すべきものは「社長の視点」というべきもの
であろうか。投資の対象は、あくまでも企業である。投資家とは、あくまでも
その企業の一部を保有するにすぎない。それゆえ、その保有動機が重要である
し、またその部分について我々は熱心に勉強し、研究せねばならないのである。
株の初心者の方もいることだろう。株の買い方やチャートの見方、決算書の見
方やリスクの持ち方等、株式の基礎としての一通りの勉強が出来たら、早速実
践(購買ではない)である。本物の投資家になるための実践編では、二つの講
座しかない。「対象企業をどのように分析評価するのか」ということと、「株
価水準をどのようにみるのか」という二点だけである。その概要と方法論は、
次回コラムより述べたいと思う。

※2004年7月執筆。現在、東京IPOマガジンでは、「本物の企業IRを考えるシリ
ーズ〜個人投資家にとっての企業IR〜」を連載中です。
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サイトで。 http://www.tokyoipo.com/

■ 証券アナリスト金田洋次郎の業界セクター分析講座
■ 〜不動産セクター編〜 (第7回/全12回)
■ 提供:KCR総研 http://www.kcr-inc.com/
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第7回 不動産評価方法の転換

不動産証券化は、対象となる不動産の収益力や価値に依拠したファイナンス手
法をもとに、投資商品として多くの投資家に販売することを想定して行われ
る。つまり、不動産の証券化とは、新しいリスク・リターン構造を持った金融
商品を提供する手法であるといえる。不動産は、証券化スキームの登場によっ
て金融と融合し、今や金融商品となったのである。

金融商品として多くの投資家の投資対象となるためには、その評価方法が妥当
なものでなければならない。資金の出し手が第三者である複数の投資家である
ことから、相対で行われる不動産取引などと異なり、契約や価格の客観性、透
明性がより求められるのは当然である。

不動産市場においては、これまで理論的な不動産評価は行われてこなかったと
いっても過言ではない。不動産の金融商品化は、このような状況を一変させ
た。不動産評価方法は、過去の取引事例をもとにした非論理的な評価から、対
象不動産が生み出すキャッシュフローに基づく理論的な評価方法である収益還
元評価へと、内容、精度ともに大きく転換したのである。

不動産証券化がもたらしたもの、それはつまり不動産の金融商品化とそれにと
もなう不動産評価方法の変化にほかならない。そして、これこそが近年の不動
産市場における本質的な変化ということになろう。

※現在、松井証券マーケットプレゼンスでは、住宅セクター編を連載中です。
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■IRコンサルタントのつぶやき
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8月27日、ロイター・ジャパン本社にて開催した弊社主催企業IRフェアは盛況
のうちに終了いたしました。ご参加いただいた投資家の皆様ならびに企業の皆
様、誠にありがとうございました。ご参加いただけなかった皆様も、近日中に
ロイター・マルテックスインベスターのサイト内に動画がアップされますので、
是非そちらをご覧ください。

以前ほかの者が執筆した当コーナーにもあったが、日本における企業IRの普及
率は各種データをもとに考えれば、欧米のそれに比して、やはり低いといわざ
るを得ないようだ。欧米に行ったことすらない私が言うのもおかしいのだが。
その要因のひとつは、IR以前に、有価証券投資の浸透度の低さだと最近実感し
た。

先日久しぶりに帰郷し、親戚一同に「どんな仕事をしているのか?」と聞かれ、
困った。別に後ろめたい職業ではない、資本市場で上場企業を「勝たせる」と
いうことには、言うまでもなく大きな意義がある。

困ったというのは、証券市場の仕組みから説明しければ、下手をすれば貨幣経
済の成り立ちから解説しなければ、IRコンサルティングというものを理解して
もらえない、という状況だったからだ。それほどまでに、多くの人々にとって
は、直接金融というものがまだ縁遠いものなのだ。現状。

以前訪問した某企業の代表の方が、「株主もお客様も仲間と考えている。お客
様に当社の株を買ってもらいたい。」ということを仰っていた。「お客様」は、
株式投資の知識など皆無、という人々がほとんどであろう。そういった人々に
投資の意義とメリットをわかってもらわなければならない。しかしそれ自体、
資本市場において各企業が達すべき目標であるのは確かだ。個人投資家の育成
を事業目的のひとつとする弊社にとっても、真剣に向き合わなければならない
課題である。

裾野が狭いから、情報開示への意識も高まらないのでは、と。

このメールマガジンを読んでくださっている方々は、多少なりとも株式への知
識やあるいは関心をもたれている人ばかりだと思う。ここでぼやいても仕方な
いことなのか。新人IRコンサルタントの思考は混沌と。
(昨今毎度)

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