メールマガジン ・バックナンバー

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KCRビジネスジャーナル 2004年11月号 http://www.kcr-inc.com/
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目次
■ 金田洋次郎の証券アナリスト日記

■ 松井証券マーケットプレゼンス毎週水曜日好評連載中!
    証券アナリスト金田洋次郎の業界セクター分析講座
    〜介護セクター編〜 (第2回/全12回)

■ 注目のKCR-IPO-IRレポート
    株式会社雑貨屋ブルドッグ(3331・ジャスダック)

■ 企業IRセミナー(松井証券・KCR総研共催)開催【無料】
    日本ロングライフ株式会社(4355・ヘラクレス)
    〜企業トップの主張をライブで〜

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■ 金田洋次郎の証券アナリスト日記
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先日、東京で開催した11月6日の当社と松井証券共催の企業IRセミナーの席
上で、私は、西武鉄道の行為は明らかに証券取引法違反であり、厳罰にのぞむ
べきだと述べた。何も知らない同社の株主は、売る術もなくどんどん下がる株
価を見て何を考えただろうか。

こうした行為を一体今の上場企業はどう考えているのだろう。聞けば、名義貸
しの行為は氷山の一角であるとの噂もある。しかも、そうした企業が西武鉄道
のような財界の一角を占めるような大型企業であるというからことは深刻だ。
成長しようとしているベンチャー企業にディスクロージャーのお手本を見せな
ければならない立場の企業が、このようなスタンスでは、我が国マーケットを
透明性の高い近代的市場であるというのにはほど遠い感じがする。

こうした企業の悪事を見るにつけ、私の尊敬する弁護士である中津晴弘氏が以
前、当社に寄稿していただいた文章が頭をよぎる。中津先生は、長年の弁護士
経験から個人としての人間について、その性は善であるか悪であるかを論じる
のは、あまり意味がないが、集団組織(企業)としての人間の性は、疑いもな
く悪であると思うと前置きした上で、悪であるからこそ、その悪性を矯め直す
ための方策が重要になるとしている。

先生は、会社の価値は株主のものであり、経営者の職責は、株主の為に会社純
資産を増大させる事に他ならないとしながらも、上場企業の場合、株主とは不
特定多数の、組織化されない人間集団に過ぎないとし、株主が経営者の目に見
えていないことの難しさを言う。曰く、目に見えないものに忠実であることは
難しいと。しかし、組織化されない不特定多数の人間集団は組織化された特定
多数の人間集団と違って、平均的には合理性を求めると見てよいであろうから
、株主に忠実な経営とは、合理的な経営というのと同義語であると観念してよ
いとしている。企業組織や企業行動のよるべき規則も、この合理性という観念
の土台の上に展開されなければならず、放って置くと悪を犯しがちであるとい
う本性を矯め直すには、この哲学を全ての中心に据える他、方法がないだろう
と結んでいる。

私は、先生の考え方を踏まえて、さらに一歩踏み込んでこうした悪事や不祥事
を追放する活動として、顔の見える投資家づくりが大切だと考えている。
私が理事長を務めるNPO法人日本ライフプラン協会(http://www.jlpi.jp/)は
、まさにそのための組織である。個人投資家一人一人の力は小さい。しかし、
一人の投資家に二つ目がついてるわけであるから、その集団としての監視体制
は、極めて力強いものとなろう。

西武鉄道の上場廃止という東証が下した決断は高く評価できるものの、投資家
、日本経済にとっても与えたダメージはあまりにも大きい。私たちに必要なの
は、今回の西武鉄道事件のような不祥事をコップの中だけで終わらせるのでは
なく、健全な市場発展のためにさらに透明性の高い市場形成を目指して、個人
投資家が台頭し、企業IR活動の普及を一層発展させることを肝に銘じること
ではないだろうか。

さて、ここで今月の証券アナリスト日記をおさらいしたく思う。

〇丸八倉庫(東証2部:9313)
10月19日立川常務に同社の近況のお話を聞く。もともと創業家である尾張屋の
峯島オーナーの比率をはじめ上位株主が安定しており、浮動株少なく機関投資
家の買いが入りにくかった同社だが、先頃、制度信用銘柄指定を受けるなど値
付き率がよくなった。現在の社長は三菱信託出身で、営業に力を入れ積極路線
。大型テナントを入れ替えるなど倉庫業の売上より収益改善に積極的。成長分
野として不動産事業に注力。文京区のコンパクトンマンションを皮切りに情報
を積極的に収集している。
11月15日現在終値249円、時価総額30億円。

〇グッドウィル・グループ(東証1部:4723)
10月19日折口会長兼CEOにトップ取材。企業IR活動に特に力を入れているこ
とを高く評価したい。10月27日に速報レポート発表。詳しくはここちら→
http://www.kcr-inc.com/report/4723.html
11月15日現在終値249,900円、時価総額1,583億円。

〇インタートレード(東証マザーズ:3747)
10月28日、同社代表取締役の荒木社長にトップ取材。証券会社のシステム企画
部アウトソーシング的役割で中堅証券の自己売買システム等を扱う。荒木社長
は、証券会社と市場の中心に位置するハブアンドスポーク的役割を担いたいと
事業展開に意欲的。ライブドア証券のシステムの大型受注から売上高倍増と急
成長しており、今後の事業展開に注目したい。近日詳細レポート発行予定。
11月15日現在終値654,000円、時価総額145億円。

〇日本ロングライフ(大証ヘラクレス:4355)
10月28日同社経営方針説明会に参加。来期より価格改定を実施し、高級化路線
が明確に。介護保険依存度をさらに低める方針。これからは、個性化の時代。
無味乾燥な低価格ホームとは一線を画し、リッツカールトン並みのサービス精
神で徹底的な差別化を進める方針である。説明会の動画はこちら→
http://219.166.236.187/%7ERV80/IR/KCR/start.html
11月15日現在終値333,000円、時価総額92億円。

〇ベネッセ・コーポレーション(東証1部:9783)
11月11日同社中間決算発表に基づく中期経営計画説明会に参加。きめ細やかな
マーケティングミックスの効果が表れ、教育事業の好調が持続。キャッシュリ
ッチビジネスから安定度もある。2006年中期計画は、売上高3300億円、営業利
益260億円を見込む。売上の伸びはともかく利益の伸びが少し気になる。利益
向上の鍵は語学事業の改善とシニア事業の進展による可能性もある。
11月15日現在終値3,390円、時価総額3600億円。

〇日本調剤(東証2部:9783)
11月12日同社代表取締役の三津原社長にトップ取材。調剤薬局業界の最大手。
同社の強みとして病院前大型門前薬局、全国展開、最高水準の薬剤師、システ
ム完備をあげる。上場で財務体質を強化し、今後も積極的に事業を展開。財務
的にはROEと自己資本比率のバランスが課題といえそうである。近日詳細レ
ポート発行予定。
11月15日現在終値654,000円、時価総額145億円。

〇クボテック(東証1部:7709)
11月12日同社中間決算説明会に参加。最短で東証マザーズから東証1部上場を
果たした同社。ここへきて、脱クリスタルサイクルの動きが鮮明に。液晶メー
カーの設備投資と装置単価下落に巻き込まれないビジネスモデルを模索へ。台
湾勢の支払条件長期化からキャッシュフローが悪化。新たに購入した新大阪ビ
ルを活用した総合メディアネットワーク事業を推進も収益貢献には時間がかか
りそう。 
11月15日現在終値153,000円、時価総額211億円。

最後に今月の企業IR活動が不活発ではと思われる企業を公表したい。無論、
明確な理由なく当社の取材も拒否している。新規公開企業であるそーせい
(4565)が該当する企業だ。同社は、公開時から一方的に下落しており、業績
も決してよくない。同社は7月29日の公開時に141億円もの資金調達を市場から
実施している。先の不透明なバイオ企業とはいえ売上も利益もまだ未熟である
ことを考えると将来におけるきちんとした市場への説明はあってしかるきでは
なかろうか。繰り返しになるが当社の理念は、企業IRの一層の普及である。
透明性の高い市場運営のためにも企業側のIR活動とアナリストに対する一層
の理解が欲しいと思う。

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■ 〜介護セクター編〜 (第2回/全12回)
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に毎週水曜日好評連載中の当社代表執筆コラムをお届けいたします。

第2回 訪問介護サービス

前回、民間介護サービス企業の有料老人ホーム事業への参入がここにきて目に
つくようになってきたと述べた。ではなぜ有料老人ホームへの参入が進むのか
。このことを理解するためには、有料老人ホーム運営とその他の介護サービス
の特徴を分析し、比較対照するのがよい。

介護セクターは、介護保険の適用を受けている事業者の属する業界と定義され
るのみで、その業態が多岐にわたることが特徴である。企業間での比較を行う
前にはその企業が営んでいるサービスの種類やその構成比をまず検討したい。

民間事業者が展開する介護サービスの主なものは、訪問介護、グループホーム
、有料老人ホームの3つ。このほかにも通所介護、福祉用具レンタルや居宅介
護支援(ケアマネージャーによるケアプラン作成)などがあるが、競争の激し
さや市場規模からいって先の3つが介護サービス各社の主戦場といっていい。

それではまず訪問介護から見てみよう。訪問介護サービスの最大の特徴はその
市場規模が大きいこと。介護保険市場は介護保険給付ベースで見ると平成15年
度で4.8兆円市場。そのうち訪問介護が占める割合は全体の約4分の1に上る。
これは有料老人ホームの実に10倍以上である。

介護事業企業としてはより大きく成長性のある市場でビジネスを展開したいと
考えるのは当然であろう。必然的にこの分野でサービスを展開する企業は多い
。施設を運営する介護サービスと異なり、巨額の初期投資が必要でないこと、
事業展開に際してノウハウの蓄積が比較的少なくても事業を開始することが可
能なことも参入企業が多いことの理由に挙げられる。

※現在、松井証券マーケットプレゼンスでは、不動産セクター編を連載中で
す。投資情報満載のメールマガジン「松井証券マーケットプレゼンス」のご登
録は、同社ウェブサイトで。 http://www.matsui.co.jp/mailmag/

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■ 注目のKCR-IPO-IRレポート
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ロイターおよびNPO法人日本ライフプラン協会ウェブサイトで好評配信中の
「KCR-IPO-IRレポート」から、注目の1社をご紹介いたします。

株式会社雑貨屋ブルドッグ

【コード】3331
【業種】小売業
【市場】JQ
【公開日】2004/08/06
【主幹事】野村證券
【事業内容】ファンシー雑貨の小売チェーン

【事業の特色】
■売場面積1?当たりの売上高を重要な財務指標とし、個別店舗の採算を重視
した出店政策をとっている
■中国を中心とするアジア各国にプライベートブランド商品の生産拠点を置い
ている
■各分野別に専門のバイヤーを選任し、マーチャンダイジングの精度を高めて
いる

【経営課題】
■利益率の高いプライベートブランド商品のさらなる充実
■トレンドに敏感な対象顧客のニーズを的確に捉えていけるかがカギ
■販売促進の充実、具体的数値目標の設定等により在庫回転率の向上を達成で
きるかが注目される

【アナリストメモ】
■「消費者の生活に潤い・楽しみを与える」という店舗コンセプトをもち、全
品が贈り物に適している
■1年を1週間単位で区切って策定・実行する商品化計画「48週MD」により新規
商品が開発されている
■東北・北海道等の未出店地域にも積極的に店舗展開していく予定

【マーケット動向】
■小売業界では業績の回復感は薄く、既存店舗の前年割れの状況が散見される
■改正都市計画法では自治体の裁量で出店制限地域が設定される
■時代にマッチした商品は低価格でなくとも爆発的にヒットするという傾向が
みられる

KCRレーティング
【収益性】★★★★★
【効率性】★★★★
【安全性】★★★
【成長性】★★★
【生産性】★★★★
【IR】★★★
【総合評価】★★★★
※当社独自の基準で5段階評価しております。

配信中の「KCR-IPO-IRレポート」では、上記内容のほかに詳細な財務分析も記
載しております。IPO投資をご検討される際には是非ご活用ください。

「KCR-IPO-IRレポート」はこちらでご覧いただけます。
マルテックスインベスター http://www.multexinvestor.co.jp/
NPO法人日本ライフプラン協会 http://www.jlpi.jp/

■ 企業IRセミナー(松井証券・KCR総研共催)開催【無料】
■ 〜企業トップの主張をライブで〜
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平成16年12月13日(月)に大阪で、個人投資家の皆様を対象にした企業説明会
「企業IRセミナー(松井証券・KCR総研共催、NPO法人日本ライフプラン協会協
賛)」を開催します。

急拡大する高齢者介護サービス業界の注目企業日本ロングライフ株式会社
(4355・ヘラクレス)代表取締役社長遠藤正一氏が成長戦略等についてプレゼン
テーションを行うほか、当社代表で証券アナリストの金田洋次郎より今月の
IPO企業と注目する新興企業についてお話しさせていただきます。

また、ご参加いただいた皆様には、KCR総研の最新新興企業アナリストレポー
ト(3,000円相当)をもれなく差し上げます。

企業トップの生の声を直に聞く絶好の機会です。
皆様お誘いあわせの上、是非ご参加ください。

なお、会場の都合上、定員になり次第、募集を締め切らせていただきますの
で、お早めにお申込ください。

【大阪会場】

日時 2004年12月13日(月)18:00〜20:30

会場 阪急グランドビル26F会議室5.6号室
     大阪市北区角田町8-47
     阪急梅田駅より徒歩2分
     JR大阪駅東出口より徒歩1分
     地下鉄御堂筋線梅田駅No.6出口より徒歩1分

    会場へのご案内
     http://www.facilities.co.jp/r_room/02grand/map/map.html

17:30      開場・受付開始

18:00〜18:50 「今月のIPO・新興企業総まとめ」
        株式会社KCR総研 代表取締役 金田 洋次郎
        http://www.kcr-inc.com/

18:50〜19:00 休憩

19:00〜20:00 「日本ロングライフの成長戦略」
        日本ロングライフ株式会社 代表取締役社長 遠藤 正一 氏
        http://www.j-longlife.co.jp/

20:00〜20:30 質疑応答

※定員は100名となります。
※参加費用は無料です。

詳細 および お申込は、こちらをご覧ください。
http://www.kcr-inc.com/seminar/041213.htm

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KCRビジネスジャーナルは、毎月1回の発行を予定しております。
本メールマガジンは、株式会社KCR総研と交流させていただいている下記の方
々および当社ウェブサイトにてメールマガジンの配信登録をされた皆様、当社
主催のセミナーにお申込いただいた皆様にお送りしております。

■株式公開(IPO)企業のトップ、経営幹部
■ベンチャー企業のトップ、経営幹部
■ベンチャーキャピタリスト
■銀行・証券会社・監査法人等IPO関係者
■弁護士・会計士・診断士等専門家
■大学・官公庁等新規事業関係者
■マスコミ等PR関係者
■個人投資家・エンジェル
■内外証券アナリスト
■特定非営利活動法人日本ライフプラン協会正会員・専門委員

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編集・発行
株式会社KCR総研 主任研究員 藤田 英輔
URL http://www.kcr-inc.com
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