メールマガジン ・バックナンバー

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KCRビジネスジャーナル 2005年12月12日号 http://www.kcr-inc.com/
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目次

■KCRレポートアップロード情報!
   新興3市場:KCR-IPO-IRレポート    (04社)
   上場企業 :経営戦略トップ取材レポート(02社)

■金田一洋次郎の証券アナリスト日記 
   〜MBOというリスクファクターを考える

■KCR総研主催「企業IRフェア in 東京(05/11/19)」報告レポート

■松井証券マーケットプレゼンス毎週水曜日好評連載中!
   証券アナリスト金田一洋次郎の業界セクター分析講座
   〜チェーンストア編〜      (第3回/全12回)

■IRコンサルタントのつぶやき 
   〜「事業報告書」というもの

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■KCRレポートアップロード情報!
   新興3市場:KCR-IPO-IRレポート    (04社)
   上場企業 :経営戦略トップ取材レポート(02社)
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 弊社 KCR総研ホームページでは、リニューアルに伴いアナリストレポートを
毎日掲載しております。今回は【今週の無料レポート】として、株式会社ゲー
ムポット(3792・札証)を掲載しております。以下のアドレスにアクセスして頂
き御覧下さい。

○新興3市場:KCR-IPO-IRレポート(04社)

【無料】
2005/12/12
■株式会社ゲームポット(3792・札証)
オンラインゲーム配信サービスとコーポレートゲームサービスによるオンライ
ンゲーム事業と、モバイルコンテンツ事業を展開
http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=3792

【有料】
2005/12/09
■エスグラントコーポレーション(8943・名証)
不動産の売買、賃貸、管理及び仲介、都市開発に関する企画、調査、設計、な
らびに損害保険代理店業務、不動産の証券化
http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=8943

2005/12/12
■株式会社ユージン(7828・JQ)
ベンディングマシン及び同マシン用カプセル玩具、カプセル菓子、およびフィ
ギュア等の企画・製造・販売
http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=7828

■株式会社ファンコミュニケーションズ(2461・JQ)
オンラインでマーケティング活動を展開する企業に対して、アフィリエイト・
プログラム運営代行サービスを展開
http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=2461

○上場企業 :経営戦略トップ取材レポート(02社)

【有料】
2005/12/09
■日本コンピューター・システム株式会社(9709・大2)
「新旧の融合によるソリューションで利益率向上に取り組む」
http://www.jlpi.jp/ (日本ライフプラン協会)

2005/12/12
■さくらインターネット株式会社(3778・マザ)
「多くのトラフィックを集め価格競争力の高いサービスを提供」
http://www.jlpi.jp/ (日本ライフプラン協会)

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■金田一洋次郎の証券アナリスト日記 
   〜MBOというリスクファクターを考える
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○新しいMBO(マネジメントバイアウト)の形

 昨今、日経平均が連日高値を更新するさなか、M&A市場においてはMBO(マネ
ジメントバイアウト)なる手法が盛んに行われている。MBO とは、その名のと
おり経営陣による自社企業の買収(マネジメントバイ)を指すが、アウトの部
分が最近では、上場廃止という意味であると混同している方々がいるようであ
る。

 先日なども、ある企業で MBOの意向をお聞きしたところ、「うちはまだ上場
したばかりですから」とかなりトンチンカンな回答が帰ってきた。周知のごと
く、アウトの意味は、本来「独立」ということを示唆している。経営陣が、自
ら資金調達をし、株式の保有の側面からも自社の経営権を掌握し、自他共に独
立する。そうすることによって、経営の自由度を高め事業承継や企業再生をや
りやすくするというのが本来のMBOの役割であったように思う。

 ところが昨今の市場で脚光を浴びているのは従来型の MBOではなく、株式の
非上場化を推し進めるMBOである。このスタイルのMBOを積極的に仕掛けている
投資銀行の言葉を借りれば「戦略的非公開化」と言うらしい。ご存知のように
世間の有名どころではワールドやポッカコーポレーションなどが皆さんの記憶
に新しいところではないだろうか。この新型ともいうべき MBOは、企業オーナ
ーが主役になるところが興味深い。通常の MBOは、オーナーからの経営権奪取
を想定していただけに全く逆のパターンとなる。

○テクノエイトにおけるMBO

 このパターンの最近例としては、テクノエイトの MBOが上げられる。テクノ
エイトはジャスダック上場の自動車部品メーカーであるが、オンキョーの再建
でも有名な大朏直人氏がオーナーを務める会社でもある。テクノエイトは、11
月10日に突然、MBO方式によるTOBの賛同の意を発表。公開買付期限となる12月
8日にはTOBをはやばやと成功完了させた。これをもって来年01月下旬には、テ
クノエイト株は上場廃止となる。

 テクノエイト大朏氏の談話によれば、今後同社がプレス部品メーカーとして
現状の4倍程度の多額の設備投資を要し、短期的に減価償却費などで赤字が計
上することを資本市場が許さず、その観点から経営の自由度の高い非上場化に
踏み切ったというものだ。ポッカやワールドは、買収を恐れての非上場化と揶
揄されるが、こちらの狙いは少し違うように思う。同氏は上場のメリットを否
定していない。何より業績が向上してくれば再上場もありうるとコメントして
いるのだ。

 しかし、資本市場に上場している企業が、テクノエイトに代表されるような
手法で、簡単に非上場化の道を選べるとすれば、我々証券アナリストは、新た
なリスクが顕在したと認識せざるをえないだろう。テクノエイト株の TOB価格
は550円であり、これは直近3ヶ月平均価格から25%程度上乗せしたものであり
同社説明によれば十分なプレミアムがついているという。しかし、上場時から
の同社の株価推移を見る限り、1990年の高値3700円をピーク後、なだらかに下
落基調にあり、 220円へと暴落した1997年終値以前に取得した多くの株主は、
何ら株価的メリットはないことになる。企業がゴーイングコンサーンであるに
関わらず株主としてだけ強制終了させられるわけだ。

○投資家にとってMBOとは
 
  倒産したというなら分かるが、大朏氏の談話によれば企業として勝負に出よ
うというのだろう。企業IRのやり方によっては、計画的赤字が市場で認められ
ないということはないだろう。その点を企業IRの強化によって説明もせずに同
社のようなやり方が横行するようになれば、オーナー系企業はいつでも自由な
意思で上場廃止が可能ということになってしまう。中長期投資をする本来企業
にとって望ましい株主や投資家にとっては大変なリスクファクターが出現した
ということがいえる。

 法に触れなければ何をしてもよい。そういった風潮が株式市場にも跋扈して
いるように思える。このようなスキームが株式市場に胡坐をかくようではおい
それと中長期投資などできっこない。勢い企業経営者と投資家の信頼関係はま
すます離れていくことになる。

 しかもテクノエイトの MBOは、完全買収を果たすため産業再生法に基づき現
状保有の株券は強制買取になり、決まった額の金銭で清算される仕組みになっ
ている。ニッポン放送の時にも見られたスキームだが株主は、非上場化後も株
主で留まることを許されず国の後押しで本当の意味でもゲームオーバーさせら
れるわけだが、こちらもどこか法の使い方を間違っているのではないだろうか。
そんな気がしてならない。

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■KCR総研主催「企業IRフェア in 東京(05/11/19)」報告レポート
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 2005年11月19日(土)に東京で開催されました、個人投資家を対象した企業説
明会「企業IRフェア in 東京」 (KCR総研主催、ロイター・ジャパン協力、NPO
法人日本ライフプラン協会・松井証券協賛)のストリーミング動画および報告
レポートを公開しております。以下リンクにて御覧頂きます様何卒宜しくお願
い致します。

http://www.kcr-inc.com/event/

■2005年11月19日(土)「企業IRフェア in 東京」プログラム

○「IPO投資最新動向」
  株式会社KCR総研 東京支店長 花田健成

○「中小型株投資で勝つ投資勉強会〜経営トップ取材報告」
  株式会社KCR総研 代表取締役社長 金田一洋次郎

○「ワッツの成長戦略」
  株式会社ワッツ 代表取締役社長 平岡史生 氏

○「EMシステムズの成長戦略」
  株式会社EMシステムズ 代表取締役社長 國光浩三 氏

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■松井証券マーケットプレゼンス毎週水曜日好評連載中!
   証券アナリスト金田一洋次郎の業界セクター分析講座
   〜チェーンストア編〜      (第3回/全12回)
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第3回 チェーンオペレーションの形態

 チェーンオペレーションでは、本部は卸売機能を担い、店舗は小売機能を担
うことになる。つまりチェーンシステムとは、卸売と小売が統合された仕組み
であると考えることができるのである。この統合の形態にはいくつかの種類が
存在するので確認しておこう。

 まず資本的側面から見て大きく2つの形態に分類することができる。1つは
同一資本のもとに卸売と小売が統合される「企業型チェーン」、もう1つは異
なる資本のもとで契約に基づいて統合される「契約型チェーン」である。前者
の代表例としては「レギュラー・チェーン」があり、後者の代表例としては
「ボランタリー・チェーン」と「フランチャイズ・チェーン」の2形態がある。

 「企業型チェーン」の代表例である「レギュラー・チェーン」とは、いわゆ
る直営チェーンを指す。各店舗が1つの企業に所有され、制御される形態で、
店舗の改廃を企業が自由に行えることが最大の強みであるといえるが、当然の
ことながらチェーンを展開する企業に投資負担が生じることとなる。

 「契約型チェーン」の代表例である「ボランタリー・チェーン」は、特定の
卸売業者と資本が異なる多数の小売業者が集団化してチェーンを組織するか、
もしくは多数の小売業者同士が共同でチェーン本部を設置し、業務の協業化を
図る形態をいう。前者を「卸売主宰VC」といい、後者を「小売主宰VC」という。
小売店が経営の独自性を保ちながら、仕入れや販促などのスケールメリットを
生かし、大手業者に対抗できるというメリットがある反面、合議性が基本であ
るためコンセンサスがなかなか確立できず、意志決定と統制力、チェーンとし
ての統一感が弱くなりがちな形態であるといえる。

※2005年1月執筆。現在、松井証券マーケットプレゼンスでは、「100円ショッ
  プセクター編」を連載中です。投資情報満載のメールマガジン「松井証券マ
  ーケットプレゼンス」のご登録は、同社ウェブサイトで。 
  http://www.matsui.co.jp/mailmag/

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■IRコンサルタントのつぶやき 〜「事業報告書」というもの
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 事業報告書とは、当該事業年度の会社の事業経過や営業の概況を写真やグラ
フを用いて分かりやすく記載した報告書のことです。会社の内部からしか見る
ことのできない実際の情報を株主の皆様に対して積極的に開示し、報告をする
ことこそが従来の事業報告書の意義といえます。かつては、決算短信から財務
諸表等の情報を抜きとり、そのまま掲載するといったような大変地味なものだ
ったそうです。

 最近では、写真を多用し、ページの装飾も大変カラフルに変貌を遂げました。
他種の報告書はたまた報告書以外の冊子に見えてしまうほどにビジュアライズ
されたものも見かけます。写真や絵を用い、視覚的にうったえかける。数値に
大半のページを割き、文字や数字で埋め尽くされたかつての事業報告書に比べ
見易さは格段に進歩したと言えるでしょう。

 バリエーションが増したことで、会社毎にオリジナリティーが上がり、事業
報告書の用途も変化の道を歩みつつあります。セミナー等のイベントや業種に
よっては営業活動に携えて持っていくといったような、大変usefulなツールに
なりつつあるのです。

 日頃、多くの事業報告書やインベスターガイドを目にして持った一つの懸念
としては、その多くが財務諸表や株式データのスペースを削る傾向にあるとい
うことです。そもそもの目的である株主の皆様への事業報告を忘れ、オリジナ
リティーにだけこだわる会社はオリジナリティーという言葉に踊らされている
と言わざるを得ません。

 改めて、オリジナリティーの前に事業報告書のなんたるかを考える必要があ
るのではないでしょうか。(MS)

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KCRビジネスジャーナルは、原則毎週2回の発行を予定しております。
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■株式公開(IPO)企業のトップ、経営幹部
■ベンチャー企業のトップ、経営幹部
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■特定非営利活動法人日本ライフプラン協会正会員・専門委員

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編集・発行
株式会社KCR総研 研究員  梶本昭典
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